【M&A事例2】包装資材卸売業の事業譲渡(愛知県、売却理由: ハッピーリタイア / 買収理由: 事業拡大)
株式会社オハナ不動産は、株式会社フォーナレッジと業務委託契約を締結しています
愛知県事業承継・引継ぎ支援センターさまからご紹介・ご縁をいただいた、愛知県にある包装資材卸売の商社さまの売買についてのご紹介です。
初回面談を支援センターさまにて行い、会社訪問。必要書類を一式ご準備いただき、譲渡案件情報としてポータルサイトや、当社管理の名簿顧客約5,000件の方々へ情報開示しました。
情報開示から約2週間で問い合わせが12件。うち3社の方には売主さまの会社までお越しいただいての面談を、さらにもう3社の方とはZoomでのリモート面談をしていただきました。
すべての面談を終えたのちに売主さまと当社とで協議を行い、売主さまの会社までお越しいただいたうちの1社、同業者の方と話を進めていくことで合意。売主さまと買主さまそれぞれのご要望を改めて確認、擦り合わせをした結果、売主さまが予定されていた株式譲渡ではなく事業譲渡で取りまとめることに。売主さまがお持ちの顧客の引継ぎやリスクヘッジについても確認を行い、無事に
基本合意契約まで至りました。
ところがその後、顧客の引継ぎ業務を行っている最中の買主さまから、突然の電話が。「山部さん、こんな状態の顧客情報ではとてもじゃないですが確認なんてできないですよ!」と。
詳しくお話を伺ったところ…、買主さまは顧客とのすべての取引情報「いつ、いくらで、何を、どのように取引したか」を、パソコンで誰でもスグに把握できるようにシステム化されている一方で、売主さまは基本すべてが手書き伝票。取引における細かなことはメモ書き程度でしか残されていませんでした。つまり、「当社のシステムで管理できるように、顧客情報を整えて渡して欲しい(データ化して渡して欲しい)」という、買主さまからのご要望の電話だったのです。
そこで私は、次のようにお伝えしました。
「もし売主さまに『顧客情報を御社のシステムに揃えて欲しい』と依頼されても、それは断られますよ。事業譲渡のお話もなくなるかもしれません。なぜなら、御社のように顧客情報のシステム化ができず、時代に合った経営ができないことが売却の理由の一つなのですから」と。
10秒ほどの沈黙が続いたでしょうか。
「確かに。そうですね…」と買主さま。
そんなこともありながら、売主さまと買主さまとで顧客への挨拶訪問を行っていただき、その後は大きなトラブルなく顧客情報を引き継ぐこともできました。事業譲渡契約を無事締結でき、めでたくクロージング。
後日、売主さまと買主さま、そして、取引に関わった当社の社員全員で食事会を開催しました。クロージング(事業譲渡)までにいろいろとありましたが、売主さまが買主さまに頭を下げながら「これからもお客さまをよろしくお願いします。」と何度も仰っている姿を拝見し、思わず涙ぐんでしまいました。「M&A・事業承継は、正にこれからの世の中に必要とされている仕事なのだな」と確信した瞬間でした。