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株式会社オハナ不動産

M&Aトピックス

代表 山部が執筆するM&Aコラム。昨今のM&Aの潮流、M&Aの現実、そして、これまでに手掛けたM&Aの事例。また、そこから得られた知見にもとづいて、「山部ならではの視点」で情報をご提供してまいります。

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【M&A事例1】清掃業の100%株式譲渡(愛知県、売却理由: ハッピーリタイア / 買収理由: 事業拡大)

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターさまからご紹介・ご縁をいただいた、愛知県にある清掃会社さまの売買についてのご紹介です。

支援センターさまにて初回面談、その後に会社訪問を実施し、直近3期分の決算書、従業員さんの名簿など必要な資料一式をご準備いただきました。そして、譲渡案件情報としてビズリーチなどのポータルサイト、当社管理の名簿顧客約5,000件の方々へ情報開示。

情報開示から約2週間で10件の問い合わせがあり、売主さまと相談してそのうち2社を選定。それぞれ、社長さまには売主さまの会社までお越しいただき面談を行いました。どちらの会社さまもご同業、清掃会社さまでしたので話ははずみ、買主候補の社長お二人は売主さまの仕事内容を確認されながら、購入後の想いを熱く語ってくださいました。

結果、そのうちの1社の社長さまの想いと売主さまの想いが共感し合うこととなり、お話を前へと進めていくことに。売主さまと買主候補の社長さま、そして、私の三者で清掃現場の視察へ出向き、その場で買主候補の社長さまが気になる内容を確認したり、報告をしたりと順調に話は進んで行きました。

ところがある日、「山部さん、ごめんなさい。会社を売ることが無理そうです」と売主さまから、声をつまらせながらの突然の電話。危機を察した私は、「スグに向かいますので時間を取ってください!」と、その日の夕方に約束を取りました。

当時の私は、M&A業務をまだ始めたばかり。「経験が浅く、まだ実績もない自分が、この逆境を乗り越えられるのだろうか?」と、状況が状況であるがゆえに一人で向かうのは心細く、不安だけを胸にしながら売主さまの会社を伺ったのは言うまでもありません。

会社に到着して玄関を開けると、とても困って悲しそうな表情をされている社長さまが。その横には厳しい、そして、険しい表情の役員の方、経理部長さまがお待ちになっていました。昨日まで笑顔で対応してくださっていた経理部長さまから、「私たちはあなたに騙されていますよね!」と一言。そこから、1時間ほどだったでしょうか、お二方からさまざまな厳しい言葉をいただくことに。

その間「何か誤解されてらっしゃるな」と察することはできたので、みなさんのご気分が落ち着いた頃を見計らい、激昂されている理由をお伺いしました。慎重に、そして、丁寧にお伺いしていった結果、「M&Aののち、社員さん方は皆、首にされる」と勘違いされていることがわかったのです。

「いえいえ! 今あるお仕事は誰がなさるのですか? みなさんしかいらっしゃらないではないですか!」
「次の社長さんは『みなさんの雇用を必ず守ります』と仰っていましたよ」

など、それから2時間ほど経ったときには誤解は解かれ、みなさんご納得くださるにまで至りました。そして、購入予定者の社長さまと部長さまを交えて、再度みなさんで面談することを約束したのです。

後日、M&Aの目的、今後のスケジュールなどを改めて詳しく擦り合わせ、売り側、買い側の主要メンバーのみなさまに面談いただき、お互いが納得できるお話に。初回面談から半年後に、めでたくクロージング。取引終了後、売主さまからはお礼の手紙をいただき、買主さまからは「また次の情報を待っています」と電話連絡をいただくこともできました。

「M&A」や「事業承継」というと、「会社が乗っ取られてしまう」ですとか「リストラされる」ですとか。また、「M&Aや事業承継の仲介をしている」というと、「怪しいことをしている」と思われるですとか。まだまだ、一般的には認知も理解も進んでいないのだなと痛感させられた案件でした。


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