不動産売買・活用 / 住宅ローン問題解決の専門家

株式会社オハナ不動産

寄稿・講演・出演情報

オハナ不動産では、これまでに数多く手掛けてきた不動産の売買や活用の事例、相続問題や住宅ローン問題の解決などから得られた知見を、寄稿・講演・出演を通じてみなさまへ提供しています。

倉敷商工会議所会報 - 743 2018(平成30年)/11/15

離婚するのですが、慰謝料・養育費代わりに私(妻)は子供と一緒に住み続けたいと考えています。できるでしょうか?


11月は「離婚するのですが、慰謝料・養育費代わりに私(妻)は子供と一緒に住み続けたいと考えています。できるでしょうか?」ついてお伝えします。

住み続けることはできます。当社へもそうしたご相談をよくいただきます。ただ、ずっとトラブルなく住み続けられるか?は疑問です。と言いますのも、「慰謝料・養育費の代わりに私(妻)は子供と一緒に家に住み続けられますか?」というご相談と同じように、元夫が住宅ローンの返済を滞らせてしまい、「金融機関から督促状が届いたのですが、どうすれば良いでしょうか?」ですとか、「金融機関から『競売にかけるので退去してください』と言われたのですが、どうすれば良いでしょうか?」のようなご相談もよくいただくからです。もちろん、元夫が住み続けていて元妻がトラブルに遭遇することもあります。いずれにしても、住宅ローンの返済が残っていて、オーバーローン状態であるために売りたくても売ることができないために元夫・元妻のどちらかが住み続ける…という選択をされた場合に起こることですが、そうした場合に想定されるリスクにはどのようなことがあるか?また、そうした万が一のトラブルを想定してどのような準備をしておくべきか? をお話します。

慰謝料・養育費代わりに家に住み続けることに想定されるリスク
離婚するときに、財産分与であるいは、慰謝料・養育費の代わりとして元夫が住宅ローンの返済を続け、元妻と子供がマイホームをもらって住み続けるといったことがよくありますが、次のようなリスクがあることを知っておいてください。「うちは大丈夫」という過信は禁物です。

1.元夫が住宅ローンの返済を滞らせてしまい、競売・強制退去となる
当然のことですが、離婚後、元夫の経済的な負担は重くなります。自身の住居の賃貸費用を支払うことになれば、住まうことに要する出費が二重になります。給与が減ることもあるでしょうし、失業することもありえます。再婚すれば、家庭を2つ支えなければならなくなります。そうして、経済的に困窮し、返済を滞らせてしまった場合、金融機関は抵当権を行使して元妻と子供が住む家は差し押さえられ、競売・強制退去という流れになります。

2.元夫が住宅ローンの返済を滞らせてしまい、連帯保証人である元妻に支払い義務が生ずる
元妻が元夫の連帯保証人であった場合、元夫が住宅ローンの返済を滞らせてしまい返済能力がないと判断されれば、残債の支払い義務は元妻に生じます。「離婚したのだから、私は関係ない。元夫に請求してください」のような話は一切通じません。これは、連帯保証人は催告の抗弁権を持たないからです。法律上、そうなっているのです。

3.金融機関から一括弁済の請求を受ける
住宅ローンは、その契約者本人が所有・居住するための住宅やマンションへ 融資されるローンです。ですので、住宅ローンの名義人である元夫が家を出ている、居住していないことは契約違反にあたり、元夫が居住していないことが発覚したときに金融機関はその時点の残債を一括請求してくる可能性があります。ただ、昨今では銀行側の事情でしたり、離婚の増加でしたり…といったこともあり、「(形はどうあれ)きちんと返済してくれるのであれば構いません」と黙認されることが多くなっているようではあります。あまり大きな声では言えませんが。


一覧ページへもどる