不動産売買・活用 / 住宅ローン問題解決の専門家

株式会社オハナ不動産

M&Aトピックス

代表 山部が執筆するM&Aコラム。昨今のM&Aの潮流、M&Aの現実、そして、これまでに手掛けたM&Aの事例。また、そこから得られた知見にもとづいて、「山部ならではの視点」で情報をご提供してまいります。

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【M&A事例3】化学工業薬品・容器商社の株式譲渡(岡山県、売却理由: ハッピーリタイア / 買収理由: 事業拡大)

今回は、経営の勉強会で知り合ってから早20年近くにもなる経営者仲間から相談をいただいた、岡山県にある化学工業薬品・容器商社さまの売買についてご紹介します。

買主さん(その経営者仲間)から、「知人の経営者が高齢を理由にハッピーリタイアを考えているそうで、ならば、事業承継でうちが買おうか考えている。ぜひ相談にのって欲しい」と相談されたことから、今回のM&Aはスタート。

その後、経営の勉強会で会った際や電話・メールなどで、売主さまの会社の現状を尋ねたり、売買の話を進めていくに際してまず確認しておきたいことについてやり取りしたりを行うこと半年。

そして、2024年10月。売主さまの会社事務所にて、売主さま・売主の奥さま(経理をご担当)、買主さま、そして、当社の山部の4名で面談。今回のM&Aが正式にスタートしました。売却理由、売却希望価格、現在の銀行借入の状況、預金の状況、退職金の希望額などを売主さまから確認。当社の山部からは、今後のスケジュールの説明、そして、売買に際してご用意いただきたい資料についてお伝えしました。

ご用意いただいた必要資料一式を当社にて確認し、内容を買主さまへご報告。お互いの確認を取り、基本合意契約を締結。その後、デュー・デリジェンス(M&A(企業買収)や投資を行う際に、買い手が売り手の価値やリスクを詳細に調査・分析すること)の実施、株式譲渡契約の締結。ちょうど11月が売主さまの決算月であったため、これを機に12月から買主さまが株主へ。ここまで、わずか2ヶ月間でのできごとです。

株主が代わっただけ、売主さまは以降もまだしばらくは社長として出勤なさるので表向き、外からは何も変わっていないように見えるのですが、取引先へはオーナーチェンジを文書でお知らせし、主要取引先へは売主さま・買主さまのお2人で挨拶回りをなさいました。

ご自身の年齢を理由に「いつまでも責任を持ってこの立場であり続けることに迷いや不安があった」と、売主さま。そして、「自身に何かあったときにお客さまにも、従業員にも、家族にも迷惑を掛けてしまうので、自身が負う責任は取り除いておきたい。VUCA時代ならば尚更」とも。

売主さまと買主さまは、近い業種の経営者同士であり、かつ、20年以上ものお付き合いがある間柄でいらっしゃいました。そのため、本M&Aはかなりスピーディーに進行できましたし、株式譲渡契約後に売主様と買主様が固い握手をされながら、今後のお互いの会社のことを笑顔で話し合っていらしたのが大変印象的でした。

その一方で、そうして売主と買主が知人・友人同士など、近しい関係であるとき、お互いに言いづらいことがあるのも現実です。特に、お金にまつわる話がそうです。株の譲渡価格、今後の給与、不動産賃料、退職金など。

そうしたときに間に立ち、お互いの本音と一般的な事例を交えて、お互いが納得の行く現実的な着地点を探していくことに、当社のようなM&Aのプロフェッショナルが存在する理由や価値がありますし、私たちもやりがいを感じます。知っている、仲が良いからこそ、デリケートな内容は当事者同士で直接協議するよりも第三者を挟んだ方が円満に進められ、うまくランディングできます。

株式譲渡契約の際、売主であるご主人の隣で長年経理をなさっていた奥さまが、ホッと安堵の表情を浮かべていらしたことも大変嬉しかったです。今後も、そうした安堵や安心、表情や笑顔をM&Aによりひとつでも多く作れるよう、一層頑張って行こうと心に決めました。


今日は朝から名古屋で、事業承継相談の面談の仕事です。

今日は朝から名古屋で、事業承継相談の面談の仕事です。
お昼ご飯は、名古屋にきたら必ず食べたくなる、ソウルフードの「味噌煮込みうどん」にしました。
寒い時の赤味噌は最高ですね。
身も心もあたたまりました。



日本の中小企業経営。経営者から子どもへの事業承継の割合は20年前の80%から、半分の約40%へ

日本の中小企業の経営者の平均年齢は、まもなく70歳になると言われます。
つまり、多くの中小企業において事業承継を考える時期を迎えていると言えます。

20年前は、経営者の息子や娘への事業承継が約80%でしたが、最近ではその半分の約40%です。息子・娘ではなく、親族への承継は20年前も最近も変わらず、約10%前後。

その一方で、役員や従業員への事業承継は20年前は約5%程度であったところ、最近では約25%に。社外への事業承継も20年前では約5%であったところ、最近では約20%へと増加しているのが現状です。

毎月、M&Aや事業譲渡を検討なさっている会社の代表者さんと面談を行っていますが、毎年黒字で業績も良い会社の方とお会いすることは多々あります。疑問に思い「ご子息が継ぐ意思をお持ちでは?」と毎回お尋ねするのですが、

  • 会社経営はしたくないらしい
  • 借金を引き継ぐのを嫌がっている
  • 今の好きな仕事を続けたいと言っている

といったお返事であることが多いです。

現実、事業承継に必要な資金の確保が困難である場合もありますが、その困難がなくとも、

  • 株式譲渡や贈与など、事業承継の際に生じるさまざまな税負担が避けられる
  • 経営者が個人保証を負っている、あるいは、借入などの負債がある場合、それらが避けられる

そのような傾向が強いようです。

「昔は、親が会社をやっている家に生まれたらそれを誇りに思い、将来は継ぐことを考えたものだが...。そんな時代になったのだな...」と。
私の考えが少し古いのかもしれませんが、いつも思ってしまいます。

そうした実情の中、今後も年々、中小企業経営者の平均年齢は上がっていきますので、役員や従業員、社外の方々がM&Aや事業承継する割合が上昇していくことは間違いありません。
そのときにシッカリと経験にもとづいたサポートをできるように、日々努力していきたいと考えています。


【M&A事例2】包装資材卸売業の事業譲渡(愛知県、売却理由: ハッピーリタイア / 買収理由: 事業拡大)

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターさまからご紹介・ご縁をいただいた、愛知県にある包装資材卸売の商社さまの売買についてのご紹介です。

初回面談を支援センターさまにて行い、会社訪問。必要書類を一式ご準備いただき、譲渡案件情報としてポータルサイトや、当社管理の名簿顧客約5,000件の方々へ情報開示しました。

情報開示から約2週間で問い合わせが12件。うち3社の方には売主さまの会社までお越しいただいての面談を、さらにもう3社の方とはZoomでのリモート面談をしていただきました。

すべての面談を終えたのちに売主さまと当社とで協議を行い、売主さまの会社までお越しいただいたうちの1社、同業者の方と話を進めていくことで合意。売主さまと買主さまそれぞれのご要望を改めて確認、擦り合わせをした結果、売主さまが予定されていた株式譲渡ではなく事業譲渡で取りまとめることに。売主さまがお持ちの顧客の引継ぎやリスクヘッジについても確認を行い、無事に
基本合意契約まで至りました。

ところがその後、顧客の引継ぎ業務を行っている最中の買主さまから、突然の電話が。「山部さん、こんな状態の顧客情報ではとてもじゃないですが確認なんてできないですよ!」と。

詳しくお話を伺ったところ…、買主さまは顧客とのすべての取引情報「いつ、いくらで、何を、どのように取引したか」を、パソコンで誰でもスグに把握できるようにシステム化されている一方で、売主さまは基本すべてが手書き伝票。取引における細かなことはメモ書き程度でしか残されていませんでした。つまり、「当社のシステムで管理できるように、顧客情報を整えて渡して欲しい(データ化して渡して欲しい)」という、買主さまからのご要望の電話だったのです。

そこで私は、次のようにお伝えしました。
「もし売主さまに『顧客情報を御社のシステムに揃えて欲しい』と依頼されても、それは断られますよ。事業譲渡のお話もなくなるかもしれません。なぜなら、御社のように顧客情報のシステム化ができず、時代に合った経営ができないことが売却の理由の一つなのですから」と。

10秒ほどの沈黙が続いたでしょうか。
「確かに。そうですね…」と買主さま。

そんなこともありながら、売主さまと買主さまとで顧客への挨拶訪問を行っていただき、その後は大きなトラブルなく顧客情報を引き継ぐこともできました。事業譲渡契約を無事締結でき、めでたくクロージング。

後日、売主さまと買主さま、そして、取引に関わった当社の社員全員で食事会を開催しました。クロージング(事業譲渡)までにいろいろとありましたが、売主さまが買主さまに頭を下げながら「これからもお客さまをよろしくお願いします。」と何度も仰っている姿を拝見し、思わず涙ぐんでしまいました。「M&A・事業承継は、正にこれからの世の中に必要とされている仕事なのだな」と確信した瞬間でした。


【M&A事例1】清掃業の100%株式譲渡(愛知県、売却理由: ハッピーリタイア / 買収理由: 事業拡大)

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターさまからご紹介・ご縁をいただいた、愛知県にある清掃会社さまの売買についてのご紹介です。

支援センターさまにて初回面談、その後に会社訪問を実施し、直近3期分の決算書、従業員さんの名簿など必要な資料一式をご準備いただきました。そして、譲渡案件情報としてビズリーチなどのポータルサイト、当社管理の名簿顧客約5,000件の方々へ情報開示。

情報開示から約2週間で10件の問い合わせがあり、売主さまと相談してそのうち2社を選定。それぞれ、社長さまには売主さまの会社までお越しいただき面談を行いました。どちらの会社さまもご同業、清掃会社さまでしたので話ははずみ、買主候補の社長お二人は売主さまの仕事内容を確認されながら、購入後の想いを熱く語ってくださいました。

結果、そのうちの1社の社長さまの想いと売主さまの想いが共感し合うこととなり、お話を前へと進めていくことに。売主さまと買主候補の社長さま、そして、私の三者で清掃現場の視察へ出向き、その場で買主候補の社長さまが気になる内容を確認したり、報告をしたりと順調に話は進んで行きました。

ところがある日、「山部さん、ごめんなさい。会社を売ることが無理そうです」と売主さまから、声をつまらせながらの突然の電話。危機を察した私は、「スグに向かいますので時間を取ってください!」と、その日の夕方に約束を取りました。

当時の私は、M&A業務をまだ始めたばかり。「経験が浅く、まだ実績もない自分が、この逆境を乗り越えられるのだろうか?」と、状況が状況であるがゆえに一人で向かうのは心細く、不安だけを胸にしながら売主さまの会社を伺ったのは言うまでもありません。

会社に到着して玄関を開けると、とても困って悲しそうな表情をされている社長さまが。その横には厳しい、そして、険しい表情の役員の方、経理部長さまがお待ちになっていました。昨日まで笑顔で対応してくださっていた経理部長さまから、「私たちはあなたに騙されていますよね!」と一言。そこから、1時間ほどだったでしょうか、お二方からさまざまな厳しい言葉をいただくことに。

その間「何か誤解されてらっしゃるな」と察することはできたので、みなさんのご気分が落ち着いた頃を見計らい、激昂されている理由をお伺いしました。慎重に、そして、丁寧にお伺いしていった結果、「M&Aののち、社員さん方は皆、首にされる」と勘違いされていることがわかったのです。

「いえいえ! 今あるお仕事は誰がなさるのですか? みなさんしかいらっしゃらないではないですか!」
「次の社長さんは『みなさんの雇用を必ず守ります』と仰っていましたよ」

など、それから2時間ほど経ったときには誤解は解かれ、みなさんご納得くださるにまで至りました。そして、購入予定者の社長さまと部長さまを交えて、再度みなさんで面談することを約束したのです。

後日、M&Aの目的、今後のスケジュールなどを改めて詳しく擦り合わせ、売り側、買い側の主要メンバーのみなさまに面談いただき、お互いが納得できるお話に。初回面談から半年後に、めでたくクロージング。取引終了後、売主さまからはお礼の手紙をいただき、買主さまからは「また次の情報を待っています」と電話連絡をいただくこともできました。

「M&A」や「事業承継」というと、「会社が乗っ取られてしまう」ですとか「リストラされる」ですとか。また、「M&Aや事業承継の仲介をしている」というと、「怪しいことをしている」と思われるですとか。まだまだ、一般的には認知も理解も進んでいないのだなと痛感させられた案件でした。


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