倉敷商工会議所会報 vol.761(2020/05/15)へ寄稿いたしました
相談者を決して責めないし、断言しない
倉敷商工会議所会報を読んで下さっている皆さま、こんにちは!オハナ不動産の山部真一です。
5月は『相談者を決して責めないし、断言しない』をお伝えします。
私のところに相談に来られる方は、みなさん切羽詰まっておられます。それはお金の面もそうですし、人間関係、仕事関係、夫婦関係、親子関係、親戚関係、人生の展望など、すべてにおいてのことです。その中には精神を病んで鬱病のような状態にまで足を踏み入れている人もいます。そんな方たちの多くは不安と恐怖のせいで冷静な判断ができず、自分が今どういう状況に置かれているかわからなくなっています。今朝届いた督促状を前にただただ慌てるばかりで、物事を考える視野が極端に狭くなっているのです。そんなとき、私は彼らに冷静さを取り戻してもらうため、今の状況を可視化していきます。まず今の状況を丁寧にヒアリングして、それをホワイトボードにひとつひとつ書き出していきます。家は誰のものか、借金はいくらあるのか、支払いはいくら終わっていて、何ヶ月分滞納していて、夫婦で購入したケースならそれぞれの持ち分はどのような割合か、互いの仕事状況はどうなのか、出資額はいくらずつか、2人はこれからどうしたいと思っているのか…。私というコーディネーターが入ることで、だんだん事態の全容が見えてきます。面白いもので人は頭の中で考えているだけだとパニックに陥りやすいのですが、それを書き出すことでだんだん客観的に捉えられるようになり、気持ちも冷静になっていきます。現在の状況を聞いた上で、次は今後の希望をお尋ねします。これから先も同じ家に住み続けたいのか、すぐに売却してしまいたいのか、とにかく残債を減らしたいのか、一度クリアな状態にしたいのか…。それぞれの希望に対して「できる」「できない」「できるとしたらどんな選択肢があるのか」というものを書き出していきます。私たちはコミュニケーションを取りながら解決策を一緒に模索していくのです。
私が強く意識しているのは、相談者さんに対し「こういう状況なので、これしかできませんよ」という断言は避けるということです。断言は相談者さんを追い詰めることにつながりますし、絶望の淵に立たせかねません。ただでさえ相談者さんは心に不安と葛藤を抱え、悩みに苦しんでおられます。自分に負い目があると思い、これまで誰にも相談できなかったのです。特に借金や離婚などに関する相談は、なかなか身内にできないものです。だから、私のような第三者に話すのが一番いいと思います。私は相談者を決して責めませんし、非難することもありません。ただただ黙って状況を聞きとるだけです。人は悩みを吐き出すと、必ず気持ちがラクになるのです。